おばあちゃんが咲いた/藤鈴呼
一段落ついて
皆で 自宅に 戻った
お父さんと
お母さんと
わたし
玄関先の 蔓が伸びて
アーチのように
迎え入れて くれた
薄桃色の 薔薇の木だ
一輪だけ 見事な花びらを見つけた瞬間
言葉が漏れた
あ、まだ、咲いてるヨ!!
呼応するかのように
父は 呟いた
おばあちゃんが 咲いたな
黒い服を 身にまとった母は
無言で 扉を開けた
私は 笑ってた
そうして これからも
空を 見上げながら
見つめていこうと思う
例えば
カッキリ 二週間前に 旅立った叔父が
使い切れなかった
ドラム式洗濯機が
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