人魚/あおい満月
 
ける。
血が、
何かを描くように流れ出る。

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窓辺で月をみていると、
月は赤い血の色をしている。
開けたばかりのワインも、
どこか味気ない。
すると、
赤い月が鏡に変わり、
あの男の笑みが、
にっくりと浮かび上がる。
ワイングラスにも、
男の唇が。
あのことばを囁やきながら。
男は何人も殖えていく。
私の部屋は、
赤い手垢にまみれた 水槽になる。
私はそこで、
溺れ逝く人魚。


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