白い部屋/愛心
目が覚めると、私は小さな部屋にいた
殺風景な部屋だった。
真っ白な壁。部屋の四隅を示すように、上部の硝子が嵌め込まれた窓から差し込む光が唯一の光源だった。
家具などはなく、代わりに、部屋の中央に見たことのないテクノロジーの塊みたいな機械が鎮座していて、触れられないよう有刺鉄線で囲まれていた。
外へと繋がっているのは、小さな窓のみ。
扉もない。なにもない。少なくとも私が生きるためのものは何一つ見当たらない。
私の興味は私へと向いた。
なぜこんな部屋にいるのか。この奇妙な状況を整理しようとしたが、何も思い出せず、頭の中にもやがかかったように空白ができたままだった。
囚人
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