ブラックバード/レタス
 

片側二車線の国道に車に轢かれた
猫の死骸が横たわっていた
電線に横並ぶカラスたちの視線は
一点に集中している
ひっきりなしに通り過ぎる車の間隙に
猫の死骸は潰れて
薄くなってゆく
やがては食らいつく部位は無くなり
毛皮だけになる

カラスたちの視線は
涎も流さず
涙も流さず
時折空に向かい
嘆きながら
猫の死骸に
視線を戻す

やがて来る冬を前にして
カラスたちはまなこを落とす
隙間の無い国道2車線を
飢えた嘆きが空気を斬っていた

どんなに黒くあろうとも
生き続けなければならない

冬を迎えるまえに



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