お骨になったから。/梓ゆい
 
(最後まで、引き渡したくなかった大きな身体。)

「お骨になっちゃったから、仕方が無いね。」と
諦めた様に叔父さんが呟いた。

「お骨になっちゃったから、仕方が無いね。」
マイクロバスに乗る4人の女達。
骨壷・お位牌・遺影・菊の花束を
今度は離さぬよう
しっかりと抱きしめている。

「お骨になっちゃったから、仕方が無いね。」
拾い上げた欠片よりも白い雲が
みんなと並んでお家に向かっている。

「お骨になっちゃったから、仕方が無いね。」
明日家を出るときからは
「いってらっしゃい。」と
笑って手を振らない父がそこにいる。

「お骨になっちゃったから、仕方が無いね。」
「お骨になっちゃったから、仕方が無いね。」
「お骨になっちゃったから、仕方が無いね。」

畳部屋の小さな祭壇
深い暗闇に溶け込みながら
重たい陶器のふたを開けて
欠片のいくつかをぽっけに入れた。


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