山田さん/たま
いけど
だからもう そんなことどうでもいいの
地下二階で 童話は書きたくないでしょう
ね?
私が、わたしに 謂い分けしなければ
新しい
小説も、
詩も、
生まれない
きっと悔しいはずなのに それは誰にも謂えなくて
明日になればそんな謂い分けも色褪せてしまうから、幾日も眠って忘れてしまう
今までも
そうしてきた
ずっと、そうしてきた
夜が 明けるまで
それがもう、できない理由があると謂うならば
せめて、このまま
地上で死にたい
地の底の虫たちには喰われたくはない
きのう巣立った
鴎の餌になりたい
そうしてずっと、遠くまで運ばれたい
海の上を
ずっと、
ずっと、
恋も詩も育たない 火山島まで
山田さんに 会いたくて
戻る 編 削 Point(18)