ブリュノ/opus
今にも雨が降りそう
60ccの排気音が遠ざかっていく
煙草をふかす
煙が上がる
空に溶ける
「結局こうなる」
アパートの脇から
頭がマグロのスーツを着た男が現れる
「いっそ死ぬか?」
拳銃をブリュノの後頭部に突きつけ
引鉄を弾く
夜、
雨が降る
ランニングが
血で染まる
喉仏に銃を突きつける
「もし足りないなら努力するか、
我慢するしかない。
そうするしかないんだ。」
この3時間後、
ブリュノは殺される
立ち回りが悪かったからだ
ブリュノはその事を知らない
ただ、知った所で恐らくどうにもならなかっただろう
黒い傘をさしたマグロ頭が
ふかしていた煙草を
ブリュノに咥えさせる
ブリュノは
腹から血を垂れ流し
横たわっている
煙草を咥えても
力が入らず
地面に落とした
「お前はよくやったよ。」
そう言って
マグロ頭は立ち去っていく
ブリュノは
「ゴメンよ、
ありがとう」
そう呟いてから
息を引き取った
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