その血もまもなく滅びようとしている/天野茂典
 
はいきている
  子どもはいない
  妻もいない
  生まれてくるとき人はひとりで生まれてくるように
  死ぬときも一人だ
  理屈では分かっていてもやはり怖い

  あの烏凧はいまごろどこを飛んでるのだろう
  人生は回収できない
  あの烏凧も回収できないまま
  大空でトランペットでも吹いているのだろう



  父の血はぼくが受け継いだ
  その血もまもなく滅びようとしている


             2005・02・16  


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