名残。/
梓ゆい
居間で胡坐をかく父の姿を
時折見る。
(死んだはずなのに。)と思いながら
「お父さん。」と声をかけた。
(父はただ、静かに背を向けている。)
そこにいるだけでいい。
そこにいてくれるだけでいい。
「その事がありがたく幸せだ。」と
お骨になって帰ってきた直前
痛いほど理解をした。
何も言わなくていい。
何も語らなくていい。
ただただ
「お父さん。」と
呼びかけるために・・・・。
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