蟹妻/チアーヌ
うでもないから、強く誘った覚えは無いのだけど、女の子がずいぶん積極的だったので乗せてもらった。別にどっちでも良かったんだけど。まぁでも据え膳を断るのって逆に失礼だからね。
女の子を送って、タクシーで家に帰りつくと、もう4時半だった。これから寝て、明日また仕事かぁ、と思うとうんざりしたが、玄関に入ったとたん、睡魔に襲われて倒れこんだ。
「全く、聡史さんっておいしいとこ攫っていくんですから。結婚してるんだから、少しは遠慮してくださいよ」
「いやぁ。そういうつもりじゃなかったんだけど。あっちが積極的でさ」
「あの子が一番かわいかったですよ。俺も狙ってたのになあ」
「お前もひとりくらいつ
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