冬のはちみつ/そらの珊瑚
じゃりじゃりになっている
蜜のあわれを
さじで救い取る
瓶の中で
結晶になった
白い彼女はきれぎれになり
焼かれたパンの熱でそれは
ふたたび脆弱に溶かされてゆく
朝の甘い官能
熊は射殺されたそうだ
人間のテリトリーを侵しただけ
ほんの少し間違ったばかりに
もうそろそろ
ホシムクドリがやってくるだろう
燕らは無事に海を渡っただろうか
戻るということを繰り返す
まるで波浪のような
命のいとなみ
葉を失った枝々はさざめき合っている
それらは旅をする全ての者の
束の間の止まり木になる
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