世間が変だ?3(関連の最新トピック付き)/石川和広
 
惧だ、とも滝川氏は言う。「アメリカの医療改革も、患者さんの人権や長期入院の問題などをうたい、病院開放をやりました。それは表看板で、裏には保険など医療経済の問題がありました。そして病院から開放された患者さんがその後どうなったかというと、膨大なホームレスを作ってしまったのですね。自殺者もたくさん出ました。その教訓をきちっと踏まえているのでしょうか。そうでなければ、アメリカの病院開放の二の舞になりかねませんね」。いままちがいなく、自己責任・自己決定を軸とした競争にもとづくアメリカ型の「新自由主義」が、この国でも急速に進んでいる。精神医療や福祉という「社会的弱者」が対象とされる分野に、そうした理念が相応しいかどうか。「コストの問題を伏せ、理念を先行させたまま改革を進めようとすると、そのしわ寄せを受けるのは、かならず現場であり、患者さんですから」と締めくくった。



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