バラッドのはじまり/……とある蛙
する
走った先の森が割れ
偶然、途切れた草原(くさはら)で、
頭上に夜が現われる。
漆黒(しっこく)の闇夜が嘘のよう
空は暗く晴れ渡り、
雲の大きな切れ目から
星の光が降り注ぐ。
夜空に向かって球体(きゅうたい)は
その発光した球体は
ふわふわふわふわ上って行く。
斜めに感じる黒い月
月の視線は、猩々(なにか)を凝視(ぎょうし)
キラキラ沈むチャフが舞い
猩々(なにか)の周辺に漂(ただよ)っている。
その猩々の視線はチャフに遮(さえぎ)られる
それでも球体の光を見失わないまま、走り続けた。
東の空がぼやけながら光の矢を放ち始め
彼我誰時(かわだれどき)の薄闇(うすやみ)に
その猩々は走りながら覚醒(かくせい)する。
覚醒したその猩々に
半島から曳(ひ)かれてきた猫の額
中つ国の明日が掛かっている。その
猩々の立ち止まったところ、堆積さ
れ何年も放置された放射線を発する
水が地面から湧き出ている。取り残
された大地だ。周囲は盆地、瀬戸内
へも中海へも行ける陸海路の要衝
ここから最初のクニが始まる。
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