水溶性キネマ(ゴル投稿)/百均
 
色々とオカルトめいていていた。サボテンと会話するサラリーマンの話。闘病生活を乗り越えた女の子の先に待っていた空っぽの話。身体が燃えている夫婦の間に生まれた息子が、車に乗っている間に焼け死んでしまった。という夢の話。猟師に黒くて長い尻尾を切り取られた腹いせとして、飼い犬を三匹沼に沈め、周到に猟師の精神を奈落の底に突き落とした後で、布団の中から猟師を丸呑みにする紙芝居の上演。などなど、彼女の部屋には一度だって入りたくなかった。

そんなある日、彼女がある漫画を皆の前に紹介した。その漫画はこういうものだった。「一日を何度も繰り返すことの出来る少年が努力を武器に運命に挑んでいく物語」彼女はこういった。
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