水溶性キネマ(ゴル投稿)/百均
北から九州まで二時間しかないなんて。離陸の際の鼓膜の痛みが、まだ尾を引いていた。尾は地上の噴水から黒いガソリンを海に吐き出していた。砂浜に打ち上げられた少女の上に空から少女が被さり、傘を回しながら不時着する言葉は女の子の皮膚を剥いで男にした。男の名前を持った女は、いつしか子供を産み、子供は瘡蓋から剥がれ落ちる膿に涙を落とし、浮かべ、水たまりに貼る虹色の油を反射する太陽光が門を閉ざし、女は旅を続け、僕はそれを眺め、誰もいない飛行場に不時着した綿毛から芽が生え顔を出し、潰され、裏庭で射殺された女の唇から溢れた弾丸が僕の足首を映写機の光を空に歪めた。歪めた。歪めた。観何処にもいない。観客は僕なのか。主演は、東京の春は暑い。日差しは眩しい。焼けたコンクリートの熱をさらうように落ち葉が駆けていった。その後を追う主役は、足跡は、小さく何処かに、どこにも、いない。
水溶性キネマ。
カ行だけが、庭に鼻を咲かせる、
即興ゴルコンダ(http://golconda.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=4984940#10920415)
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