芥子色の北風/信天翁
 
 卒寿のおひとりさまにあって
 起床時と就寝時のあいだには
 別個の世界がころがっていた
 
      灰いろの深い溝に
   芥子色の北風が渦まいて

       眺めみたものは
     無益の造形物であり

     拾いつまんだものは
    無聊の虚構物であった
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