冬支度/春日線香
 
朝晩は冷えこむようになり
少し体調を崩しがちになった
以前から夜の間にうちに来ていた
手舐め、足舐めの人たちは
そろそろ寒くなってきたからと
出勤を控えるようになった
とはいえまだしばらくは曖昧な気候が続き
朝起きると手足が土にまみれていたり
あおみどろだらけになっていたりする
舐め人たちは自分たちがいれば
そんな不自由はさせないのだがと
言ってくれてはいるのだけれど
この苦労もたかがあと何日かのこと
そのうち手足に芝草が生え揃い
冬の野山に適応した手と足が
春までわたしの夢遊を支えるのだ
戻る   Point(0)