銭湯/末下りょう
ゆ!
気合いの入ったコンクリの煙突は
夜な夜な夜を吸いこみながら
湯を沸かしてるっぽい
一日 一生懸命働いた疲れをきれいに洗いながすために
この町の人たちはここに集まる
はじかれた湯水を水色のタイルが受けながし
湯けむりのなかであふれる湯船を
ペンキ絵の富士山がどっしり見守っている
子どもたちが女風呂をのぞこうと
肩車をして蒙古斑がひらく
商店街の案内がついた鏡は曇り
ぼくは髪を洗い 歯を磨いて
隣りのおじさんのチンコと自分のチンコを比べる
股間を隠す族と隠さない族がいる
電気風呂に浸かり
からだのスカスカっぷりを思い知る
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