まぼろしの結晶/ホロウ・シカエルボク
 
ない
もしそうしようとすれば
完璧な崩壊を目の当たりにするだろう


呼吸に集中して、なにも聞こえなくなる
世界は肉体の内側だけに存在するものになる
生命の不確実な伸縮が
それでも確かに脈動するための何かを懸命に探している
見るためではなく
そのほかの何かのために見開かれた眼球が見つめるものは
きっと解読されていない古代文字のようなかたちをしているだろう
不在のように転がることが
存在を確実に知ることだってある


頭蓋骨は分解され
意識ははるかな世界をのぞむ
存在はみな
未知の信号をキャッチするアンテナだ
だれもがそこから人生を始める
ハロー、昨日の夜
おまえには日付なんてなんの意味も無いことだったんだね
本当は、そう
区切られないものが生まれ続けているだけなのだもの





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