光/あおい満月
※日本での受刑者の出産後の育児期間は一年半。
いずれあかりはあたしの手を離れ、
乳児院に預けられるのか。
あたしは涙が止まらない。
自らが犯した過ちで、
ひとつの命の生涯に難を与える。
あたしなど、
死刑に処されても構わない。
ただ、
あの子には、
あたしみたいには
ならないでほしい。
いずれ娘になって、
人生を考えるようになったら、
迷わず学んでほしい。
愛という、
優しく強い悪を。
そして、
自らを壊してまでも
生きてきたあたしにならないよう、
しっかりとその二本の足で歩いて欲しい。
あかり、あかり、
あたしの目覚めの光。
※朝日新聞平成27年5月29日(金)の夕刊によると
ドイツでは受刑者の育児期間は幼少期まで
アメリカではもっと長いスパンだと言われる。
日本では一年半であるらしい。
戻る 編 削 Point(5)