ゆれ、おちる/霜天
思考が
ゆっくりと剥がれ落ちていくような、真夜中の辺りで
時計を逆さまにして
そのリズムに
あくびも忘れて
巡る、巡る
体の中と外を行ったり来たりで
まとまらない、指先の行進、深く
空の静まり、縮まっていく
寒さに、うつむいた目を閉じる
凛、とした
その夜の
僕らは真ん中へ向かって、揺れ落ちる
うなされたときの夢のような大きさ
立ちはだかった白い波のその真ん中へ
ざあざあと、波間の
ぶつけ合う隙間に針を通す
どこかこの星の落ちていく反対で
夕焼けをしている場所
突き抜けるとまた夜になる
同じ空、同じ深さ
いつまでも落ちて
たまには降ってくる
頭の中、いろいろで
行ったり来たり巡る円で
深くなる夜の縁に引っかかって
少しだけ、空が落ちる
かちり、こちり
響く、逆さまの時計の音
大きな真ん中へ、僕らの
ゆれ、おちる
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