通勤電車/葉leaf
 


通勤電車の中の人々は
何者でもない
父親でもなければ
サラリーマンでもない
家庭と仕事のどちらにも属さない
ひたすら窓外がまぶしいだけの
振動が心地よいだけの
空白の時間に漂っている
何者でもない人々は
あっという間に広がっていき
電車の空間の中に紛れてしまう
もはや自分の中でも迷子になってしまい
スマホや本の中に目的地はなく
意味もなく欠伸でもしてみる

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