死を待ちながら/そらの珊瑚
待つということは
ときに苦痛をともなう
その時間を
固いベンチで過ごすのならば
背中は痛むし
柔らかなベッドの上だとて
安らかともいかない
点滴につながれた腕は夢の中でも痛むからだ
たとえばそこに
いつ、とか
どこで、とか
具体的な約束が存在しているのなら
それが与える苦しみは
ひと羽くらいはうすらぐだろうか
それとて
すべての約束が
ただしく遂行されるとはかぎらない
いつ、は
いつか、になる
どこで、は
どこか、になる
今日は来ないが
明日は来るって?
だけど私はそいつの顔すら知らない
無人のエレベーターが開く
乗り込むのは私ひとり
余命を知らせるなんて
なんと傲慢なのだろう
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