キンタマ王子、危機一髪/花形新次
 
背中に流れ落ちる汗を
生き物が這い降りて行くように
感じる

狙われている

彼女の爪先は
俺の股間に触れるか
触れないかのところで
思案している

動けば
タマは潰れる

動かなければ
やはり、潰れる

何れにしても潰れるなら
一か八かに賭けてみるか?

とは言っても
ことは、男の一生を左右する
一大事だ

なかなか決心が付かないでいると
彼女がしびれを切らせて言った
「てめえ、キンタマついてんのか!」

「ええ、今はかろうじて」
そう答えるのが精一杯だった





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