道行き/春日線香
 
妙に白茶けた道を
道というより橋かもしれないが
いつの頃からか歩き続けている
疲れて立ち止まったとしても
死んだ馬が頭を押しつけてくるので
休むこともできず
馬の冷たい鼻息が気に障る
なにもこのあり方が人生の喩えだとか
馬が実は死神だとか言うつもりはない
歩いている自分と馬が
互いに憎しみ合い
しかし奇妙な利害の一致を通して
同じ方向へと進んでいくのが
古い鏡の面に浮かんでいる
ただそれだけのこと
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