25gの落下 夜明け鳥鳴く頃/秋也
 
魂は存在するのか
聞かれたから答えた
聞く方も
答える方も
大切なモノを失っている
あくまで他愛もない質問
あくまで他愛もない答え
互いにさ
人の左胸には鳥籠があり
鳥籠が在るんだから鳥も居る
そいつが逃げちまうんだ
いつどこに飛んでいくかは神のみぞ知る
重要なのはそこじゃない
鳥が消える際、小さな羽根を一枚鳥籠に落とす
ふわふわの奴を必ず一枚だけ
その重さ25g
ふわふわの羽根たった一枚がなんと25g
籠に残されたそのたった一枚が人の魂なんだ
そのたった一枚もどこからか吹く優しい風に乗って
舞うように鳥籠から消えちまう
つまりだ消えちまうからこそ
魂は在
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