秋の花/駱駝一間
 
(明るさに滲みた空があり
 されど傘は閉じられず
 雨はぽつりぽつりと降っては消えて
 湿りを立って眺めるばかり)

秋雨のうっすら青いなかを
ほのかに明るいほうへはからずも振れて
ふわりふわりと舞う蛾は唯一枚
遠く、遠くを震わせる息なき叫び、、
ちいさな象徴の在り処

少年の、祖母のずしりと重い鎖樋の懐かしさ
幾度秋が連ねられようとも
つらつら伝う雨水のあわいには、
円かなコスモスの花が
あの蛾のようにちいさく咲く。
戻る   Point(2)