秋の花/
駱駝一間
(明るさに滲みた空があり
されど傘は閉じられず
雨はぽつりぽつりと降っては消えて
湿りを立って眺めるばかり)
秋雨のうっすら青いなかを
ほのかに明るいほうへはからずも振れて
ふわりふわりと舞う蛾は唯一枚
遠く、遠くを震わせる息なき叫び、、
ちいさな象徴の在り処
少年の、祖母のずしりと重い鎖樋の懐かしさ
幾度秋が連ねられようとも
つらつら伝う雨水のあわいには、
円かなコスモスの花が
あの蛾のようにちいさく咲く。
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