『戦争詩歌集事典』高崎 隆治より、戦争詩を考える。/こひもともひこ
米露の兵士ではないことと、敵兵士に対する恨みつらみのない内容のものがあることから、「憎き敵を皆殺しにしろ!」というような思考ばかりではなかったことが分かる。
▼
{引用=・長谷川素逝
雪の上にけもののごとく屠りたり
汗と泥にまみれ敵意の目をふせず
思ひあまたいくさする身のおぼろ夜は
民うゑぬ酷寒は野をおほひけり
月落ちぬ傷兵いのち終わりしとき
・片山桃史
ひと死にて色盲の子の図画とどく
生きてくふ飯荒寥とひとりびとり
たらちねの母よ千人針赤し
忍従の兵這ひ泥土馬を喰ふ
流れ弾とべり軽傷兵饒舌
いつし
[次のページ]
戻る 編 削 Point(16)