『戦争詩歌集事典』高崎 隆治より、戦争詩を考える。/こひもともひこ
 
米露の兵士ではないことと、敵兵士に対する恨みつらみのない内容のものがあることから、「憎き敵を皆殺しにしろ!」というような思考ばかりではなかったことが分かる。




{引用=・長谷川素逝

雪の上にけもののごとく屠りたり

汗と泥にまみれ敵意の目をふせず

思ひあまたいくさする身のおぼろ夜は

民うゑぬ酷寒は野をおほひけり

月落ちぬ傷兵いのち終わりしとき


・片山桃史

ひと死にて色盲の子の図画とどく

生きてくふ飯荒寥とひとりびとり

たらちねの母よ千人針赤し

忍従の兵這ひ泥土馬を喰ふ

流れ弾とべり軽傷兵饒舌

いつし
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