秋の詩篇/山人
ふと 空を見上げると
蒼かったのだと気づく
鼓動も、息も、体温も
みなすべて、海鳥たちの舞う、上方へと回遊している
ふりかえると二つの痕がずっと続いている
一歩づつおもいを埋め込むように
砂のひとつぶひとつぶに
希望を植えつけるように
海は、あたらしい季節のために
つぶやきを開始した
海鳥の尾にしがみつく秋を黙ってみている
そう、海はいつも遠く広い
僕の口から
いくつかの濾過された言葉が生み出されてゆく
君の組織に伝染するように、と
いくらか感じられる
潮のにおい
君の髪のにおいとともに
新しい息をむねに充満させる
*
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