秋の詩篇/山人
 
ふと 空を見上げると
蒼かったのだと気づく
鼓動も、息も、体温も
みなすべて、海鳥たちの舞う、上方へと回遊している

ふりかえると二つの痕がずっと続いている
一歩づつおもいを埋め込むように
砂のひとつぶひとつぶに
希望を植えつけるように

海は、あたらしい季節のために
つぶやきを開始した
海鳥の尾にしがみつく秋を黙ってみている
そう、海はいつも遠く広い

僕の口から
いくつかの濾過された言葉が生み出されてゆく
君の組織に伝染するように、と

いくらか感じられる
潮のにおい
君の髪のにおいとともに
新しい息をむねに充満させる



     *

[次のページ]
戻る   Point(6)