メトロノームは振り子を揺らして
僕のピアノにけちをつける
きついオールドミスの先生のように
かちかちかちかちかちかち
ごめんなさい先生
今年は一度も笑いませんでしたね
臙脂色のそれはメトロノームで
絶対的な威圧感を僕に刻み込む
かちかちかちかちかちかち
先生の銀の眼鏡の縁が
僕を監視しつづける
同じ過ちは二度と許しません、と
先生あなたにこうして委ねていることで
得られる微妙なバランス感覚は
決して
悪くない
むしろ
もっとこうしていたいくらいです
僕のサティを グノシェンヌを
先生のきつい香水に漂わせてみたいのです