風船/
春日線香
部屋の隅に風船が浮かんでいる
白い風船だ
暗い片隅でそれはぼうっと光る
雨の日や
嵐の日には
表面に顔が浮かぶこともあるが
ぼやけた表情ではっきりしない
時折、夜中に目を覚ますと
わたしの頭上に移動していて
よだれのような糸を垂らしている
手を払って邪険にすると
朝には部屋の隅に戻っている
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