シェイクスピア『ソネット』116番の拙訳/matirius
拙訳
偽りない二つの心が相結ぶ
その邪魔をどうか僕にさせないで
変わりゆく相手を目の前におのれ自ら変わるなら
無かったことにしましょうと言われて誓いを破るなら
そんな愛は愛じゃない。愛とは不動の旗印
嵐の中にもこの目に見え、けして揺らぐことは無い
彷徨うすべての船に向け、針路を示す天の星
人が測るはその高さ、人が知らぬはその価値(ねうち)
唇や頬の赤ならば、時が過ぎれば色褪せよう
だが時は愛を弄し得ない
わずかに時が経つうちに愛が移ろうことはなく
その長らえること今際まで
この詩が真理に背き、しかと証さらば
我が人生の詩作、人の世の愛、すべて
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