夏の葬列/為平 澪
た夏の死骸を並べている
※
青空は紅蓮に燃え盛り 向日葵の影だけが空へ向かう
その影を追いかけながら走る赤い目の夕焼け少女に
父が与えた花は もう、燃えてしまった、のに
思い出だけが口走る
(ひまわりって、どうしてかれちゃうの?)
(日の光のことばかり語って、もう泣けなくなったから)
私の眼の中で向日葵が咲いて燃やされてゆく
※
焼けただれた空の隙間を仏間からこぼれ出る線香の煙が
淡い姿をくゆらせて立ちゆくように
私の立ち位置を揺るがす風が
足首のない父を連れ去って逝く
過ぎたはずの熱風が込み上げるたび
私の全身は濡れたまま
花の骨の在り処をねだる
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