もう耳を澄ます時間もない/
noman
置き忘れられた人形が
構図のよく練られた
写真の中で壁に寄りかかっている
干からびたサンドイッチのかけらが
両手で持てないくらいの重さに感じる
気候が変化したのだ
海からの強い風で霞んだ
視界に
並んだ消波ブロックの隙間だけが明るく
見える
昨日の偶然が埋まっているかも
しれない砂浜に
波が影を落としていく
何も決定されてはいないが
義務を果たす時間は終わった
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