ルル/竹森
 
ガードレール越えて
唇をかわして
あっちの歩道に渡るから
先に横断歩道を跨いで待っていて
さら砂掬うように
ヘッドライト掬ってみるけど
ほとんどの眩しさは
指の隙間から零れてしまい
手相の溝に微かに引っかかっているくらい
注意してねと
君の眼前で開く
両の呪符はまるで
電池切れの携帯電話
黒い画面をまるで
領収書みたく映してみせた
街路樹は点灯して
ポケットの中には
角の一端が異様に尖った石鹸と
アフリカで購入した
汗入り混じる黒人の体臭が一匙
アラスカ奥地の
彼が成人になるために必要な儀式の数や
ネオン彩るラブホテルの数を
コンビニで購入できる地図の
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