ながい階段/草野春心
 


  ながい階段が その夜
  わたしの内に滑らかに延び
  喉の辺りで途切れていた


  笑えるほどにせせこましい
  悲しみなど疾うの昔に
  桃色の床で何者かに
  踏み砕かれ


  昇るべきか
  降りるべきか
  ぶ厚い 花の匂いが
  闇のように魂をいざなう



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