ペーニャ/末下りょう
になり滑走路を叫びながら走った
近ちゃんは糞したな
暗闇の懐中電灯がしつこく追ってきた 海まで逃げた
掻き集めた枯れ枝や新聞紙で焚き火して波の音を聞いた
いつの間にか砂で寝た
朝の砂浜に落ちてたスイカを安全靴で蹴り入れて割った
甘くて当たりのやつだった みんなで分けた
どっかの犬もうまそうに食った
ジュースを賭けて波間でプロレスしてのたうちまわった
ブルーザーブロディがプエルトリコで刺し殺された夏
貨物船と沈む夕日をみた
冷たい空気を吸いこみ 鼓動は遠ざかる
密告者は水に入らない
勝つことより欺くことで成立した空がある
つまらないと見なせばすべてがつまらなくなる
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