美しい馬鹿/
ただのみきや
ある日馬鹿(うましか)は恋をした
とても美しい理念に
薬はなかった
あっても飲みはしないだろう
なにせ
夕日を浴びた馬鹿(うましか)の群れが
一斉に嘶いた
美しい理念は美しいまま
血の色をした地平へ沈んで往く
放射冷却されて冴えわたる
月もまた美しかったが
「やつらはバカに違いない」
疑うことなく馬鹿(うましか)は眠りについた
《美しい馬鹿(うましか):2015年9月20日》
戻る
編
削
Point
(13)