請い文/愛心
 
わたしは貴方と、恋に落ちることは出来ませんでした。

連続殺人とか突然の大地震とか、いつ死んでも可笑しくないのだと改めて感じるようになったので、拙いながら、お手紙を書こうと思いました。

貴方はわたしをとても愛してくれました。
まるで親鳥が卵を暖めるように、その大きな両腕に柔らかな真綿を抱いて、そのなかに小さなわたしを隠すように抱いていました。

わたしは残酷な女でした。
貴方の好意を利用し、甘えては、心の空洞を埋めていました。

貴方の為にわたしが出来たことなど、欠片ほどもありませんでした。
自己満足の為に付き合わせ、独りよがりに愉しんだわたしを見て、貴方は幸せそうでした。
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