いつかロマンス風の/ただのみきや
 
朝の光が問いかける
空ろを残して辿る海辺で
初めから抜け落ちた地図が飛ばされる
一日か百年かも分からない始まり 

わたしは呼び起こす わたしを
塵ひとつ動かすこともない精神で
囚われたまま生きて往く
そんな自由も確かにあった

薔薇色の空/鳩の心臓
ささやかな翼が海を渡る
時は凪ぐ さざめく真珠の上を
安らぎの小さな孤島へと

だがどこまでもなにひとつ
一片の翼休める影すらなく
やがて力尽きて 波に抱き寄せられる
冷たい鏡の奥底


「わたしの言葉があなたの心で翼を休めることはなかった
あの詩はあなたへの恋文だったけど

「嘘さ あの恋は一編の詩に
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