秋色夜曲五 <夜に咲く 曼珠沙華(ヒガンバナ)>/南無一
 

のがれられない かなしみ と
おいてきぼりにされた 寂寥 と

わたしの手のひらに あるものは
ただ ただ ひとつの むなしさだ

わたしは おまえを 握り締め
遠い街へと ゆきましょう

のがれられない かなしみ と
おいてきぼりにされた 寂寥 と

道端に 咲いているのは
曼珠沙華(ヒガンバナ)

はるか 遠い落日を 映して
そっと ひそかに 咲いているのは
曼珠沙華(ヒガンバナ)

もっと 赤く 染まるなら
わたしの 血を あげましょう

あなたは 朱く 焔く
咲くでしょう

わたしの こころを 灼く ように
夜に 血の 滴りを 灯して 


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