あなたの詩にはセンスがない。/左屋百色
 
るでセンスのないあなたが
今日も詩を書いている
夜の海を泳ぐ
さかなみたいな詩を書いている
そう、
あなたはまるで
削られた山のよう
急斜面に造られた墓地のよう
つま先が濡れている
あなたの
その思わせぶりに青いつま先が濡れている
そう、
あなたはまるで
まだ詩を書いていない詩人のよう
九月に咲くムクゲのよう

詩はセンスで書くものではないと
センスのないあなたは言うだろう
夜空の下で
私に言うだろう
(あなたにもセンスはありません
と言うのだろう

あなたから
詩だけを切り取れば
見えてくる景色
はじめて夕陽に反射する
ムクゲに詩を感じる
今日も揺れながら
しぼんでゆく
夜空の下で
説明できない距離を歩き
技術の石につまづくならば
その石で
距離をはかればいい


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