雪原/
あおい満月
死んだ女性の頬の上にいる。
涙に濡れた彼女の睫毛が優しいくらいに
肩を燻る。
きっと、
しとは、
こんな風に生まれてくるのかも知れない。
誰かの死の上で。
いつも何かがはじまっている。
いつか誰かが
私の上で、
死を感じる瞬間があるのか。
太陽が昇ってくる。
赤い火の匂いがする。
女性の身体が
火の中に入っていく。
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