玩具/
草野春心
玩具は既に壊れており
木張りの床に見棄てられていた
夕陽から親しげな香りが溢れ、
窓辺に置いた花瓶に纏わりつく
私たちは 壊れていた 跡形もなく
抑(そもそも)の使いみちもわからないくらい
そうして あなたの睫から
涙は落ちてこなかった
ただ一つとして
戻る
編
削
Point
(5)