カラスの声で目覚める朝は/南無一
 

夜明け前
鶏の鳴く声で目を覚ましたのは
もう遠い昔のことのようだ

今では
ゴミ場を漁る カラスの声で
目が覚める

僕がまだ寝床のなかで
うつらうつらしている時が
カラスの食事の時間なのだ

ゴミ場を散らかし放題の
カラスの傍若無人が
羨ましい

人の迷惑など お構いなしの
カラスの勝手が
羨ましい

時には 人を襲う
カラスの傲慢さが
羨ましい

人間の欲望の残りカスが
増えればふえるほど
カラスは さらに逞しくなる

だが しかし
カラスの声で目覚める朝は
一日がザラついて 騒がしい

鶏の あの 遠く尾をひく鳴き声で
目覚めてみたいものだと
寝床の中で 思うのだ



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