「詩人」という肩書について/葉leaf
 
過ぎない、人間の創造性など所詮引用の束に過ぎない、文学作品において作者など問題にならない、そのようにして作者の実存性や主体性は否定されてきた。
 だが、そのようにしてそぎ落とされてもなお残る、「その人らしさ」のようなものはこれも疑いようもなく存在していて、それを固有のものとするか寄せ集めと考えるかはもはや形而上の問題に過ぎないようにも思われる。重要なのは、詩人が安易に選民意識を持たず、自らの置かれている歴史的状況とそこからの影響を自覚し、謙虚に詩作することだろう。なお、神秘主義は信仰の問題なのでここでは立ち入らない。
 結局、「詩人」という肩書は、肩書でありながら肩書の要件を満たさないが、それ
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