朝の日記 2015夏/たま
それで受粉は完了
すばらしく簡単なしくみだった
生殖にかかわるしくみは例外なくシンプルだという
でも、何かひとつ欠けると成功しないらしい
あの夏の日、
わたしの財布には産婦人科の診察券が入っていた
家内と通った産婦人科だった
何かひとつ欠けていたということになるだろう
その何かが、
医学によって補われることもあるという
大きくて甘いスイカを育てるためには
人工授粉は必然のしくみだった
でも、それをやらないで虫まかせにしたのは
わたしの選択であって、誤りではない
ひょっとして虫嫌いのスイカだったのかもしれない
というか、たぶん
今年は虫が少なかったのだと思
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