放熱とシックスセンスの歌/瓜田タカヤ
 
また男が、「また赤になったね。
キス行っとく?」ってな感じでニヤつきながら女を見ていた。
そしたら女が「イヤだん。まえの車絶対見てるって。」といった感じで
二人で俺の車のほうを覗いていた。

男は、余裕こいて俺の車に指差して、見てるだろう?みたいな感じで
やってきたので、俺はタバコを吸っていた灰を大げさめに体を動かし
灰皿へと落とし、バックミラーから眼をそらした。

信号が青になった。
俺は買うことさえ忘れていた本を探しに夜の闇を徘徊する。
アクセルを踏むと同時に俺は歌を唄った。
「レーイカン!やまかん。だいろおかあん!」

もう2月になっていた。2005年のだ。
車内のみ暖かい陽気な季節は、冷たく続く。
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