大昔のこと、夜のパレード/またたび八寸
 
のような批評を繰り返す

夜に文字が駆け抜けていた

一人暮らしの狭い部屋で
僕は大量の文字に埋もれていて
隙間から立ちのぼってくる
書き手の怨念みたいなものを
手で祓いながら、素敵なものを
より分けて、プリンターで
紙に落とす
ガチャガチャ音をたてて
あの頃、
僕らのパレードはいつだって
楽しげに続いていたんだ

*****

手を握って、飛び降りて、
着地して、駆け出して、
誰にも言わない秘密、
僕は詩を書いて、読んで、
白い紙を、
印字された黒いフォントを、
溶けてしまうくらい、
眺めて、泣いて、
笑って、怒って、楽しんだ、
夜の中、夜のパレード



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